万軍の主の御名によって
１サムエル１７：４１－５４
少年ダビデがペリシテの巨人ゴリヤテを倒す場面だ。イスラエルの初代の王サウルは、神に従わず(13章、15章)、神に捨てられることになった。彼のあとに立てられたのが、まだ子どものダビデだった。心をご覧になる主(16:7)が、ダビデをお選びになった。本章でゴリヤテの前に出たダビデだが、すでに彼は油が注がれ、主の霊に満たされていた。
イスラエルは、地中海沿岸に住む強力な民族ペリシテと交戦中で、ペリシテの巨人ゴリヤテの挑戦を受けた(4節～)。彼は40日間、朝夕出て叫び続けた。内には王が悪霊に悩まされ、外にはゴリヤテの挑戦が続く。イスラエルは存亡の危機にさらされた。
そこに神はダビデを派遣された。彼は一介の羊飼いだった。サウルから「まだ若い」と一笑され(33節)、ゴリヤテにも侮られるほど(43節)だった。しかし、彼には主の霊が臨んでいた。これが勝利の第一の秘訣だった。
第二の秘訣は、聖なる怒りを持ったことだ。ダビデのうちに、生ける神の陣に挑戦する割礼なき者への怒りが湧き上がった(26節)。主への愛から来る憤りだ。味方は恐れおののき、士気は失い、神への信仰もない。けれども、主の霊に満たされたダビデには、生ける神への愛と信仰があった。人を見ては望みはない。自分を見るのでもない。神を見るのだ。主にのみ望みを置くのだ。この生ける神に信頼したからこそ、彼は神を侮るこの挑戦者に怒りを持ったのだ。
私たちも、神の御名が汚されることへの怒りを持ちたい。多くの魂がサタンに捕らえられ、滅びつつある現状を見て、サタンに対する怒りを燃やしたい。
第三の秘訣は、神への信仰に立ったことだ。サウルは、ダビデに巨人への応戦を許可し、王のよろいとかぶとを貸したが、借り物の武具では間に合わなかった。いつも使い慣れた武具、石投げと杖で十分だった。それらは小さいが使い慣れていた。そして、何よりも彼には平素使い慣れた信仰があった。戦いに、その場しのぎ、にわか作りの物は通用しない。日常の信仰がものを言うのだ。
少年ダビデは、巨人ゴリヤテの前で物怖じしなかった。神への絶対的信仰があったからだ。「この戦いは主の戦いだ」(47節)という信仰だ。自分が戦うのではない、主が戦われる主の戦いだ。剣・槍・投げ槍による戦いではなく、神の名による戦いだ(45節)。ダビデの武器はこの信仰だった。ゴリヤテを倒したのは、一個の石ではなく、信仰だった。まさに信仰の勝利だった。
サタンが恐れるのは、私たちの信仰だ。私たちが主を信じる信仰に立つなら、サタンは必死になる。私たちの主キリストは、私たちのために十字架にかかられ、贖いを完成された。救いは出来上がっている。主が戦われたのだ。あとは私たちが信じるだけだ。
主は死よりよみがえり、死にうち勝たれた。この主が、今も天の処で私たちのために執り成しておられる。そして今や、天のみ住まいから立ち上がって(ｾﾞｶ2:13)、再臨される。
主に従う道を進みたい。救霊の戦いに出たい。ゴリヤテは必ず立ちはだかる。目に様々なものを見せて私たちに挑んでくる。しかし私たちは、万軍の主の御名を信じる信仰をもって勝利を収めることが出来る。戦い給う主を信じよう。