キリストの婚宴にふさわしく
マタイ２２：１－１４
イエスが十字架にかかられる3日前の火曜日、主はパリサイ人･律法学者らと論争された。主は彼らを厳しく責められたために、彼らの主に対する敵意は高まった（21:45,46）。主はふたりの息子のたとえ（21:28-32）、またぶどう園を預かった悪いしもべたちのたとえ（21:33-44）を語られ、パリサイ人・律法学者と取税人・遊女らを比較された。
本章1節からのところで、主は3つ目の譬えを語られる。鈍いパリサイ人・律法学者らに“まだわからないのか”という思いで語られるのだ。
ここで王は神、王子はキリスト、しもべたちは預言者たち、招かれていた人たちはユダヤ人、大通りの人たちは異邦人を表している。婚宴にふさわしくない人たちとは、どういう人たちのことだったのか。
１．招かれていたが拒んだ人たち
パリサイ人たちのことだ。彼らは確かに招かれていた。律法があり、アブラハムの子孫であり、割礼を受けていた。これらは誇るべきもので、自分たちは名誉ある神の選民だという意識が強かった。しかし、実際はそれらは形骸化していた。彼らは“主よ、主よ”と言いながら、実は神の恵みを拒否していたのだ（7:21）。
王から派遣された第1陣のしもべたちの招きに対して、「彼らは来たがらなかった」（3節）。招待されながら応じたくなかったのだ。
王は第2陣のしもべたちを送る（4節）。寛容な王だ。第1陣の誘いに応答したがらないだけでも失礼であるのに、丁重に重ねて招く。それに対して、畑に行く、自分の商売に行く、しもべたちを殺害するという、三様の反応を示す（5,6節）。いずれも、神の恵みを拒むパリサイ人らの利己主義を表現している（ﾙｶ14:16-24）。
王の失望はどれほどだろう（8節）。ここで招きは大通りへ出て行く。ユダヤ人らの拒絶によって、福音は異邦人に伝わった。神の招きに応ずる者は皆、恵みの座に座らせられた。我らは本来招待されていなかった。大通りにいる者で、王宮には入れない者だった。しかし、主から“来なさい”と招かれ、王子の婚宴の席に着かせていただいた。これは恵み以外のなにものでもない。招きに応じることがいかに大切かを教えられる。
我らは皆、神に招かれている。キリストに十字架の全き救いへと招き入れられている。我らはどう応えるだろうか。
２．礼服を身につけていない人
大通りで出会った人たちが招かれて、応じた者は皆席に着いた。それなのに、礼服を着けていない人がとがめられたとは、一見矛盾しているようだ。しかし、矛盾ではない。礼服は王から支給されていたのだ。彼は故意に礼服を着なかった。だから黙っていたのだ（12節）。
礼服とは義の衣だ（ｶﾞﾗ3:27，ｴﾍﾟ4:24，ｺﾛ3:10，黙3:4,5）。キリストの血による赦罪と義認の恵みだ。さらに一切の汚れからの聖潔（きよめ）の恵みだ。
この全き救いなくしては、御国に入ることができない。礼服が王から支給されたように、全き救いはイエスから与えられる。こちらに謙遜と渇きと信仰があれば、必ず与えられる。
婚宴にふさわしくありたい。神はすべての者を招き給う。しかし、実際に招きに応答して選ばれた者になるのは少ない。招きを無にしてはならない。ふさわしい魂とならせていただくべく、熱心に求めよう。