羊飼いである主イエス
詩篇２３：１－６
この詩篇は、もっとも愛唱されている歌で、主がいかに恵み深い御方かを、ダビデが牧者だった経験を振り返りつつ歌ったものだ。
「主は私の羊飼い。私は乏しいことがありません」(1節)。羊飼いであるイエスのもとにいれば、私たちは乏しいことがない。イエスの言葉を思い起こす(ﾖﾊ10:11,14)。現実は欠乏だらけだが、主が霊の祝福をもって満たしてくださる(ｲｻﾞ66:11)。
「主は私を緑の牧場に伏させ…」(2節)。主は私たちを御言葉をもって養ってくださる。御言葉の前に出て来なければ、養われることはない。御言葉の解き明かし、語られるメッセージを聞かなければ、魂は育たない。
「主は私のたましいを生き返らせ…」(3節)。主の養いとは、魂が回復させられ、義の道へと導くものだ。主イエスは、十字架によって、信じる者に罪の赦しを得させてくださる。罪を悔い改め、キリストの十字架を信じた魂に、罪の赦しが与えられる。まずこの最初の救いをはっきりと頂くことが先決だ。
罪の赦しが与えられた魂に、主は聖潔(きよめ)の恵みまで与えてくださる。救われてもなお汚れた自我に気がついて、渇きをもって御言葉の光に従う魂は、キリストの十字架へと導かれる。そこでキリストと共に古い自分が死んで、キリストが私の内に生きてくださるという信仰に導かれる(ｶﾞﾗ2:20)。そして神のものとされたという確信が与えられる(ｲｻﾞ43:1)。この恵みによって、魂が真に回復される。そこから、神の前の正しい歩み、つまり主のために生きる生き方が始まる。私を愛し、私のために死んでよみがえられたキリストのため生きる生き方だ(2ｺﾘ5:15)。主はご自分の御名の名誉にかけて、贖われた私たちをそのように導いてくださる。
「たとえ 死の陰の谷を歩むとしても…」(4節)。贖われた私たちは、主の御名のため、福音のために苦難を受けることがある。死の陰の谷のような深刻な状況になることもある。しかし恐れない。主が共におられるからだ。主の臨在が私たちを守ってくださる(ｲｻﾞ43:2、41:10、ﾏﾀ14:27)
「私の敵をよそに あなたは私の前に食卓を整え…」(5節)。これから戦いに出ようというときに、早くも主が勝利を祝う祝宴を開いてくださる。主との親しい交わりで、私たちをもてなしてくださる(黙3:20)。そして、戦いを前にした私たちに、勝利の主が聖霊の油注ぎを与えてくださる。戦いはある。サタンとの熾烈な戦いだ。敵は強力だから侮ってはならない。しかし、勝ちはこちらのものだ。イエスが勝利者として立ち上がってくださるからだ(ﾖﾊ16:33)。こうして主は、戦いを前に、私たちに祝宴の楽しみを味わわせてくださる。
「まことに 私のいのちの日の限り…」(6節)。こちらが慈しみと恵みを追いかけるのではない。慈しみと恵みのほうが追ってくるのだ。主の圧倒的な愛があるのだ(2ｺﾘ5:14)。その愛は一時的ではなく、これから終生私たちを囲み続ける。私たちはいつまでも主の宮に住まう者となる。私たち自身が、主が内に住んでくださるという神の宮だからだ(1ｺﾘ6:19)。
この詩篇は、イエスの十字架で救われた者の、祝福に満ちた歩みを歌った詩だ。真の羊飼いである主イエスのもとで充足し、主のために生き、主に喜ばれる魂にされたい。